《目に見えない形の命1万匹以上を生み出さない事に成功》
2008年の動物愛護管理推進計画が始まって以来、沼津市における経年の評価
が動物ノートの活動としてまとまりました。独自の調査と検証をし、2015年9月に行われた行政主催の交流会にて、近隣の行政担当者向けに報告及び提案書を提出させて頂きました。
その際、添付させて頂いたのが、飼い主のいない猫数の増減を見る為に参考になる以下のグラフです。
当会が本格的なTNRを基調活動とする以前は、路上遺体数が増加の一途をたどっていました。
その為、何の対策も取らない場合予想されていたのが破線の部分で、26年度には限りなく1200頭に近い数字となる見込みでした。
実際は順調に減少し、取り組みの始まったピークのH20年1091頭から26年には737頭と33%減少する事が出来ました。
実際、助成金制度の始まった22年度から26年度まで合計2735件の助成を行った内、当会の捕獲援助数は1500匹を超える為、半数以上を当会で関わったことになります。
また特筆すべきは、当会以外の助成金申請は”手で捕まる飼い猫に近い猫”や”管理者本人が申請した猫”であり、容易に管理出来る猫です。
対して、当会の関わった捕獲は95%が通常捕獲が無理な飼い主のいない猫であり、不幸な猫の増加に関与している猫たちは、これら捕獲器を使って捕まえなければならない猫です。
とするなら、助成金制度利用頻度は55%であっても、飼い主のいない猫減少に大きく寄与しているのは、当会の活動と言えると自負しております。
環境省などのデータによると、1匹のメス猫から1年間に20匹程度の猫が増えると予想されると言います。
かなり少なく見積もって年間10匹としても、この6年間で関わった手術数からその半数のメス猫が750匹として、猫数の減少が横ばいであっても、たった数年で1万匹をゆうに超える不幸な命を生み出すことを止めたことになります。
私達が日頃目にしている猫達の内、こういった人知れず死んでいる猫達を生み出さない取り組みは、ともすれば評価を受けにくい分野ですが、真に不幸な猫達を救う活動と考えます。
青い棒グラフが行政の殺処分数の変化です。
記録をさかのぼれる平成20年度の沼津市の殺処分数は269匹でしたが、平成26年には保健所の引き取り拒否の努力もあり、148匹と45%減少しました。これは本当に大きな成果です。
実際、行政はただ単に「引き取りできません」と言えば引き取り数ゼロはたやすく達成出来るはずです。
しかしながら平行して、飼い主のいない猫に対して有効な対策が取られないなら、行政の引き取り数が減ることで、飼い主のいない不幸な猫の数は増加の一途をたどってしまうでしょう。
そうはならなかったのは、不妊手術の取り組みが上手く行った証拠とも言えます。
このところ特に重要になって来たのは、保健所に持ち込まれる予定だった猫達の処遇です。
最近は行政と情報交換し、持ち込み依頼のあった場所に訪問し、不幸な猫を生み出す元凶を食い止める為の活動にも力を入れています。
引き取り依頼者に不妊手術をする事を根気よく説得し、手術に応じて戴くのは大変な忍耐が必要で、応じて戴くのはたやすいことではありません。
しかし、この半年間で訪ねたのは市外の市町村を含めると、のべ13カ所以上。遠くは神奈川県西部にまで及びます。
私達の取り組みの大きな特徴は、単にTNR(捕まえ・手術し・戻す)にとどまらず、手術済の猫達が事後もなるべく幸せにすごせるよう、TNRの前後に大変な時間と労力をかけている事です。
20年以上前、不妊手術の活動が重要だとの認識にシフトしてきた当時、ボランティアの殆どが猫に関わっている人間無視で「ノラ猫が居れば、勝手に手術」をし、自治会とのもめ事に関しては無関与でした。
せっかく手術したのにも関わらず、追い立てられたり保健所に持ち込まれてしまったり、悔しい思いをしたことも度々でした。
長く活動をしてきて、真に猫達を幸福にするには、地域住民の理解や協力・行政との連携が必要との結論に至り、必ず基本的な「地域猫活動」を試みています。
M神社TNRプロジェクト 2015.12~
現在活動中です。 |
I港多頭TNRプロジェクト 2015.12.31
取りあえずのTNRは済んでいる為、暫くぶりに訪れたが、未手術を含めヘルニアの
猫が居た為、さっそく手術を実施。更に疥癬が蔓延していることが解り、地元ボ
ランティアの協力を得て医薬品を運んで頂き、酷い数匹のみすぐに治療に取りか
かる。 |
SニュータウンTNRプロジェクト 2014.11~
昨年、O地区の猫問題解決を見た事で、伊豆市関連の依頼が定期的に来るようになった。
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I市猫問題への取り組み 2014.7~
のどかな山間にある50戸ほどの自治会では、これまで数年ごとに自治会が飼い主のいない猫を捕獲処分していたという。法改正もあり行政が引き取りに難色を示した為、自治会役員達が独自に捕獲を強行しようとした事を、猫好きの住民達が当会に相談。まるで話し合いにも応じようとしない役員達を行政と共に根気よく説得。まず強制駆除を止めさせ、自治会の会合にてTNRや地域猫活動について説明。猫に関わりのある方達を個別に訪ね、猫調査をしながら不妊手術を薦める。 何カ所かあるエサ場とトイレの一つ。今回の問題で、自治会の結束が深まり人間関係にも良い影響があったと、嬉しいご報告も頂いている。 |
I港多頭TNRプロジェクト 2014.3~
このところ力を入れているのは、新しいボランティアさんの為の援助。日頃個人的におつきあいのあるボランティアさんからS港の状況を聞き、資金とTNRの協力を申し出る。当会が資金提供をし、活動の進め方から行政への活動報告まで「活動実績を提供する」と言う主旨で、細かく連携。本来は当会のメンバーのみで取り組めば事は早かったのだが、新人ボランティアが経験を積む良い機会ととらえて、全面援助。妊娠の心配のない年明けすぐと言う事で協力獣医への働きかけなど行っていた。 妊娠を防ぐ為と称して不法建築物に閉じ込められた猫達もおり、糞が積み重なっていた。にもかかわらず、度々脱走する為、毎シーズン妊娠・出産が繰り返され、多い時には50匹程度の猫がいたという。 TNR初日の様子。多頭TNRの為、近隣獣医の協力を得ての予約だったが、片道63キロの距離の往復は猫もストレスの為、慎重な移動を心がけ、一匹一匹の状態管理にも気を配った。 |
S町多頭飼育崩壊現場
きっかけは行政が作った一枚のポスター。9月「処分される猫を一匹でも救って下さい」という文面に問い合わせをしたが最初は、役場及び保健所からは「もう手がつけられず何も出来ないほどこじれている」とのこと。 S町高齢者による多頭飼育崩壊現場の猫達。調査に入った当初は、40匹近くの猫達がたむろしていた。2年前から保健所が介入していたものの、手がつけられなかったという。自治会からの苦情が有った為、餌やりさん達が自暴自棄になり、全頭処分の話しが進んでいた。 |
手術を繰り返しているが…
助成金が始まる前から手術をしているコロニー。手術した猫はのべ匹数にして25匹を超える。建物管理者さんに報告書を出す事を希望しない為、なかなか認知されない。今後は少しずつ活動をオープンにし管理者さんにも喜ばれる事を目指す。 |
近頃地元でも問題に上ることが多いのがアニマルホーダーへの対応だ。実際行政も手を出せず、ボランティアが環境改善のお手伝いをしても、結局しばらく経つと元の状態に戻ってしまう。
今回、初期のホーディングで、家族が管理出来そうな方を動物ノートでリセット。室内にいた15匹の猫に不妊手術とノミ・ダニの駆除を施し、家に出入りしていた2匹をTNR。新しい住居に引っ越すお手伝いをし、そこでもノミ・ダニ対策。全頭不妊手術により、狭いケージからは解放された。定期的に尋ね、元に戻らないよう見守っていきたい。
「糞尿のために床がゆがんでいる。小さな部屋にケージが3つ置かれ、オスメスを分けているという・・・が、現実段ボール箱の中では小さな命が育っていた。」
後日ホーディングリセットを行いました。
リセット後の状況がこちらです。
これは、病的なアニマルコレクターを意味し、たくさんの動物を適していない環境〈スペース、食餌、衛生状態、ケアや医療措置において〉で飼いながら、動物にも人間にも問題があることを自分で認識することができない。一種の精神障害と見なされるが、法的な根拠が無いため、取り締まることが難しい。一時的に状況が改善されても、また同行為を繰り返すため、殆どの場合解決方法が無い。先進国であるドイツでさえ、ホーダーを施設に収容し動物は殺処分という、何ともしがたい現実がある。アニマルホーダー(動物の過剰多頭飼育者)は大まかに3種類に分類できるという。事態を収集できなくなった飼養者、救助者、そして搾取者だ。このところ動物ノートで関わる事があるのは、年配の多頭飼いでの「飼養者」そして”自称ボランティア”の「救助者」。特に後者は、実際ボランティア活動の認知を広める動物ノートの活動に対し、大変な妨げになり、対応に苦慮している。外で餌をばらまいて歩く一方、自宅の動物は飢餓状態で、病気の治療もせず不妊手術をもしないなど、完全な動物虐待である。
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